借金と離婚の因果関係
借金を理由に離婚する夫婦はどれくらいいるのでしょうか?
また自分が借金を配偶者に隠していたことで離婚されることはあるのでしょうか?
調べてみると借金があること自体を理由に離婚にいたることは少ないようです。
借金に至った経緯や借金の事実を隠していたなど借金にまつわる要因が離婚の原因になるようです。
例えば、夫婦の夢をかなえるために借金をした場合「借金」が離婚の理由になることはないかと思います。
逆に浪費やギャンブルによる借金、多額の借金を隠していたなど借金に至った経緯が夫婦関係を悪化させてしまい離婚の理由になってしまいます。
ちなみに離婚の理由ランキングで浪費は6位に入っています。(1位は性格の不一致)
ここではお互いの了解を得ている借金ではなく
ギャンブルや浪費、借金の事実を隠していたといった「悪い借金」についての説明になります。
借金が理由で離婚されてしまう!?
離婚の方法によります。
夫婦間で話し合って自分も離婚に合意すれば借金を理由に離婚することはできます。(協議離婚といいます)
夫婦間で話がまとまらない場合など家庭裁判所の調停委員を交えた話し合いを行い合意にいたった離婚は「調停離婚」といいます。
夫婦のほとんどはこの協議離婚または調停離婚による離婚です。
浮気や子育てについてや性格の不一致など様々な理由がありますが離婚について話し合いで最終的に夫婦どちらともが了承した場合の離婚です。
問題は、自分は離婚したくないのに相手が離婚を求めてきた場合です。
自分は絶対に離婚を認めたくないので同意しませんし拒否するのですが話し合いではなく裁判になった場合、借金は離婚の理由として認められるのでしょうか?
裁判離婚とは
話し合いでは離婚の合意にいたらないため訴訟をおこし裁判による解決を図るため「裁判離婚」といいますが民法に定められた法律上の離婚理由がない限り、裁判所は離婚判決を書いてくれないため離婚できません。
法律上の離婚理由とは
「不貞行為」
いわゆる不倫です。配偶者以外との肉体関係。「肉体関係はないけど好きになっちゃった♡」は不貞行為にはあたりません。肉体関係があっても1度だけの関係は不貞行為にはあたりますが実際、離婚の理由として裁判所が認めることはほとんどないようです。ある程度の継続した関係のようです。
◆相手の不貞行為で離婚するには
「悪意の遺棄」
「生活費を渡さない」「理由のない別居」「健康な夫が働こうとしない」といった正当な理由もなく同居・協力・扶助の義務を怠ること。「病気で働けない」など正当な理由がある場合は該当しません。
「失踪」
配偶者がいなくなり連絡もとれない状態。配偶者の生死不明な状態が3年以上続いている場合
「精神疾患」
強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
「婚姻を継続し難い重大な事由」
- 犯罪行為による服役
- 配偶者の親族との不和
- 性格の不一致
- 性生活の不満
- 同性愛・性的不能
- 過度な宗教活動
- 金銭問題
- 暴力・侮辱・虐待
といった夫婦関係が事実上破綻しており、精神的・社会的・経済的に困難な状況が該当します。
上記の5つが法律上の離婚理由になります。
では借金は離婚の理由として法的に認められるのでしょうか?
たとえば「パチンコで負けが続き消費者金融から借金をした」だけでは離婚の原因にはなりにくいですが
- 借金して愛人に貢いでいる
- 生活費をギャンブルに充てて生活に困窮してしまっている
- 配偶者の制止を無視して借金を繰り返す
といった場合は離婚原因になる可能性は高く、上記にある「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性があります。
「内緒にしていた借金がバレてしまい配偶者が私を信用できないと離婚を求めてきた」場合は
生活が困窮している、返済していくことができないほどの多額の借金、生活費を渡していないなどといったことがなく今後の夫婦生活自体に問題がない場合は離婚の理由として認められる可能性は低いと思います。
ただ、だからといって離婚を免れるわけではありません。今後生活していくにあたって金銭的には問題なくても借金が原因で配偶者が「精神的にダメージを受けてしまった」、「借金をしていたことについて夫婦間の価値観の違い、性格があわない」といった訴えであれば配偶者の訴え内容や客観的からみて正当と判断されれば離婚の判決がでます。
※実際の所、裁判離婚において価値観の違いや性格があわないといった「性格の不一致」で離婚の判決が下されることはほとんどないようです。ただ「性格の不一致」により別居期間が数年以上続いていたり、今後婚姻生活を続けていけないという証拠があれば「性格の不一致」でも離婚の判決がでるようです。
結論
協議離婚や調停離婚においては借金はじゅうぶん離婚の理由になるということです。
夫婦の話し合いでは解決できず裁判に持ち込む裁判離婚においては「借金」というよりも借金に起因する離婚の理由を裁判官が妥当と判断すれば離婚の判断が下されるということです。
本人が離婚したくなくても配偶者の訴えを裁判官が認め離婚の判決がでれば嫌でも離婚が成立してしまうということですね。※不服の場合は控訴もできます。
もし家族や配偶者に内緒で多額の借金をしていたり配偶者に借金がバレたら確実に離婚を求められる恐れがある方は早めに借金の解決をした方がいいと思います。
配偶者・家族にバレずに借金を解決しないといけませんので専門家(弁護士など)に頼るべきです。自分ひとりで解決するのは難しいと思います。
家族にばれずに借金問題を解決するなら、自己破産は避けたいところです。なぜなら、自己破産をすると資産はすべて失うことになるのでマイホームを残すことはできず、他にも車など価値のあるものは没収されてしまいますのでもちろん配偶者にバレてしまいます。
「借金が返せない」という状況になって、はじめて弁護士に相談をする人が多いですが、それでは遅いと言えるでしょう。
「返せないかもしれない」「早く解決したい」と少しでも思ったら、弁護士に相談をするのがよいです。
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